1. HOME
  2. コーティング豆知識
  3. 知って得するコーティング情報 コーティングの種類 ハードコートの種類 コーティング関連コラム
  4. プラスチック製品をキズから守る!ハードコート

コーティング豆知識

プラスチック製品をキズから守る!ハードコート

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
プラスチック製品をキズから守る!ハードコート

プラスチック(アクリル・ポリカーボネート・COP・COCなど)や金属などの製品をキズから守る「ハードコート」という技術があります。
今回は、改めて「ハードコート」の必要性と、厚さ、種類、塗工前後の処理について解説します。

1. ハードコートとは?

ハードコートとは、製品の表面をキズや汚れから守る目的のコーティングのことです。
ハードコートを大きく分類すると、湿式と乾式のコーティングに分けられますが、ここでは湿式のコーティングについて解説します。

湿式で用いられるハードコート剤は、コーティングする前は液体であり、一般的に有機溶剤(溶媒成分)とコーティングとして残る有効成分(固形分)で構成されています。この液体を対象製品にコーティングし、有機溶剤を揮発させると、有効成分が表面に残ります。この有効成分に熱・光などのエネルギーを与えることで硬化させたものがハードコートとなり、製品の表面をキズや汚れから守るコーティングになります。


ハードコート剤の塗工プロセス

 ハードコート液の塗工プロセス

2. プラスチック製品をキズから守る!
ハードコートの必要性

プラスチックの表面は非常に柔らかいためキズが入りやすく、一度汚れが付着してしまうと、容易に汚れを除去することができなくなります。
キズには様々な種類(擦りキズ・ひっかきキズ・押し込みキズなど)がありますが、ハードコートはこれらのキズや汚れから、プラスチックの表面を守る役割を果たします。

プラスチックの表面保護用のハードコートは様々な場面で利用されています。視認性を維持したいディスプレイ表面、誤作動防止のためのセンサー用保護カバー、スマートフォンなどの表面保護フィルム、各種レンズ、意匠性の高い化粧品筐体、電子機器筐体、自動車用部材など、幅広く利用されています。
そして、ハードコートに要求される性能としては、高透明性、耐擦傷性、硬度、基材との密着性、耐薬品性、耐久性などがあります。

プラスチック用ハードコートの目的・用途

目的 プラスチック(PMMA・PC・COP・COCなど)製品の表面をキズ、汚れから守る。
用途 ディスプレイ表面、センサー用保護カバー、保護フィルム、各種レンズなど。


擦傷性試験後の外観比較

擦傷性試験後の外観比較

スチールウール#0000 1.0 kg 10往復



3. ハードコートの厚さ

プラスチック材料に用いられるクリアーハードコートの膜厚としては10 μm前後が一般的です。ハードコートが薄すぎると製品表面を保護することが十分できず、ハードコートとしての性能が十分に発揮できません。逆にハードコートが厚すぎると、ハードコートクラックが発生し、割れてしまいます。

また、ハードコートの厚さはハードコートの密着性に影響を与える場合もあるため、ハードコート塗工をする上で、厚さのコントロールは重要な要素の一つです。塗工するプラスチックや要求される物性に合わせてハードコートの厚さを検討しますが、一般的にはハードコートの濃度・塗工方法により厚さをコントロールします。

比較イメージ 厚さ
一円硬貨 1.5 mm
一万円札 100 μm
有色塗装 50 μm
ハードコート 10 μm
たばこの煙の粒子 400 nm

  

4. ハードコートの種類

湿式によるハードコートは、主に以下の3種類があります。


1. 有機系ハードコート

柔軟性に富み擦傷性に優れるが、硬度が得られにくいです。ラジカル重合により硬化します。


2. 無機系ハードコート

シランカップリング剤の加水分解重縮合を利用して硬化します。
眼鏡用プラスチックレンズに利用されています。


3. 有機無機ハイブリッドハードコート

有機系ハードコートでは満たすことのできない硬度の要求に対して対応可能です。
ナノ粒子やオルガノシランを使用した材料が硬化するとマトリックスとなる有機成分と結合します。



5. ハードコート塗工前後の処理・ARコート加工

ハードコートを塗工する際に、密着性向上の為、前処理を実施する場合があります。前処理には、いくつかの種類があり、代表的なものとしてアルカリ処理・コロナ処理・プラズマ処理などがあります。前処理の条件は、基材の種類・塗工条件によって検討します。

ARコート(反射防止膜)が必要な場合は、ハードコートの塗工 をした後にARコート加工をすることになります。(この加工順序でなければ、反射防止性能は得られません)

ハードコート前後の処理・加工

6. ニデックのハードコート製品と受託サービス

ニデックではUV硬化型のハードコート剤を販売しています。
UV硬化型のハードコート剤は、生産性に優れ、加工しやすい特長があります。
ラインアップとしては有機・無機ハイブリッドのAcier(アシェル)、 耐擦傷性及び柔軟性・耐候性を向上させた有機系のPreveil(プリベール)、 屋外・外装用のPROTEGER(プロテガ)などがあります。

また、ハードコート剤Acier(アシェル)をコーティングした樹脂シートGeolass(ジオラス)、樹脂フィルムGeofilm(ジオフィルム)も製品展開しています。
これらの用途に合わせた多彩なラインアップは、以下のリンクボタン(製品一覧ページ)より詳細をご覧いただけます。



また、Acier(アシェル)、Preveil(プリベール)のハードコート塗工(ディップコーター・スプレーコーター)は受託サービスにも対応しています。

  最大加工サイズ
ディップコーター 1,000 × 300 × 80 mm
スプレーコーター 600 × 600 × 100 mm または 300 × 300 × 300 mm


採用実績例


自動車メーター・ナビパネル 車載スマートキーパネル ヘルメットシールド
車載内装パネル 車載スマートキー ヘルメットシールド
スマートフォン筐体 (前面・背面) スマートフォン保護フィルム AR/VR用レンズ
スマートフォン筐体 スマートフォン保護フィルム VR/AR用レンズ
KIOSK端末タッチパネル前面板 各種読取機器 (窓部) 前面板 センサーカバー
KIOSK端末パネル 各種読取機器(窓部) センサーカバー

※全ての画像はイメージです。

この記事に関連するページ

ハードコート剤の性能比較
ARコートとは?
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ページ

コーティング製品一覧

お問合せ   tel.0533-58-3451

お見積やサンプル提供も可能です。お気軽にお問合せください。



工場見学
資料ダウンロード
お問合せ
 
資料ダウンロード