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ハードコートの塗工方法

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ハードコートの塗工方法

製品の表面をキズや汚れから守るハードコートについて、「どんな塗工方法でしょうか?」「塗工方法の種類はいくつありますか?」といったお問い合せをよくいただきます。ここでは、ハードコートの塗工方法の種類とその選定方法、仕様について解説し、ニデックのハードコート塗工についてもお伝えしていきます。
ハードコートをご検討される際のご参考にしていただければと存じます。


1. ハードコートの塗工方法と種類

ハードコートで一般的に用いられる7種類の塗工方法について、具体的な方法、メリットとデメリットをまとめた表が以下となります。

塗工方法 メリット デメリット
ディップ
コート
ディップコート コート剤の中に浸し、引き上げて塗工する方法
  • 両面の同時塗工が可能
  • 外観品質が良好
  • 塗着効率が良い
  • 塗工分以上にコート剤が必要(ディップ槽を満たすため)
スプレー
コート
スプレーコート コート剤に高圧をかけて、霧状に噴出して塗工する方法
  • 様々な形状へ対応可能
  • 薄膜から厚膜まで可能
  • 飛散塗料があり、塗着効率は悪い
ダイ
コート
ダイコート スリットダイからコート剤を押し出しながら塗工する方法
  • 膜厚の均一性が良好
  • 塗工効率が良い
  • 大面積の対応が容易
  • 完全平板形状のみの対応
(フィルム、シートのみ)
フロー
コート
フローコート

コート剤を流しかけて塗工する方法

  • 塗着効率が良い
  • 塗工設備が安価
  • 膜厚分布が課題
  • 薄い膜は不得意

カーテン
コート

 カーテンコート コート剤をカーテン状に吐出させ、そこを通過させて塗工する方法
  • 塗着効率が良い
  • 塗工設備が安価
  • 膜厚分布が課題
  • 薄い膜は不得意
スピン
コート
 スピンコート コート剤を滴下し、回転させることで塗工する方法
  • 薄膜から厚膜まで可能
  • 膜厚精度が良い
  • 塗工設備が安価
  • 飛散塗料が多く、塗着効率が悪い
  • 大面積には向かない
  • 平板形状のみの対応
バー
コート
バーコート コート剤をバーにより掻き取ることで塗工する方法
  • 塗着効率が良い
  • 簡易テスト向け
  • 外観が課題
  • 完全平板形状のみの対応
(フィルム、シートのみ)

2. ハードコート塗工の選定方法

ハードコートの塗工方法の選定は、各種塗工方法の特徴を把握した上で検討する必要があります。
各塗工方法の特徴を簡易的に○×形式でまとめた表が以下となります。

塗工方法 生産性 膜厚分布 塗着効率 塗工面 複雑形状
対応
大型基板
対応
装置
コスト
ディップコート 両面
スプレーコート 片面
両面
ダイコート 片面 ×
フローコート 片面
カーテンコート 片面
スピンコート 片面 × ×
バーコート 片面 ×

また、塗工方法の特徴以外にもハードコートに対する要求物性値、外観品質レベルにより、ハーコート種や膜厚の検討も必要となります。これらも把握し、ハードコート剤や膜厚に適した塗工方法を検討することも必要となります。


3. ハードコートの仕様について

ハードコートの仕様は、大きく2種類あります。1つ目は、ハードコート剤を購入する際、そのハードコート剤自体の液性状の仕様となります。2つ目は、ハードコート塗工品を検討する場合となり、ハードコートの物性値や膜厚、外観品質の仕様となります。それぞれの仕様について例を挙げて解説します。

①ハードコート剤の仕様

ハードコートを塗工する上で、ハードコート剤の固形分濃度、粘度、溶剤の種類の3項目が重要になります。この3項目は、各塗工方法、設備による塗工性や、物性値、外観品質に影響しますので、この3項目とその他の仕様が一般的に決められています。
UV硬化型のハードコート剤の仕様例は、以下となります。

 項目  仕様
固形分濃度  50~51%
粘度  20~30 mPa・s
主溶剤  PGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)
外観  透明

②ハードコート塗工品の仕様

ハードコート塗工品の仕様は、要求される内容によって様々ですが、一般的には量産開始前に必要とする耐久物性を確認し、日々管理される仕様は、サンプル評価にて初期物性(透過率、密着性、擦傷性、鉛筆硬度など)、外観仕様などで決められます。
透明なPMMAシートへのハードコート塗工品の仕様例は、以下となりますが、塗工される材料(基材)により数値も異なってきますので、材料特性とともにハードコート性能を把握して検討する必要があります。

 項目  仕様
全光線透過率 91.5%以上(JIS K7361-1)
Haze値 0.3以下(JIS K7136)
密着性 テープ剥離試験3回で剥がれ無きこと
擦傷性 スチールウール#0000にて、1 cm角、1.0 kg荷重、
100 mm/s、60 mmストローク100往復にてキズ無きこと
鉛筆硬度 6H以上(JIS K5400-5-4)
接触角 100°以上

4. ニデックのハードコート塗工

ニデックでは、高硬度・高耐擦傷性を特長としてUV硬化型のハードコート剤を各用途向けのラインアップし販売をしております。


また、ハードコート剤の受託加工サービスも行っており、ディップコートとスプレーコートの塗工対応を行っています。
ディップコートは、最大加工1,000 ✕ 300 ✕ 80 mmサイズまで加工対応を行っています。
スプレーコートは、ロボット式で最大600 ✕ 600 ✕ 100 mmもしくは300 ✕ 300 ✕ 300 mmサイズまでの加工対応となり、開発検討用の利用と少量の量産対応を行っています。
この他に小型実験機として、スピンコート、バーコート、フローコートの塗工装置も所有していますので、これら塗工方法のテスト検討も可能です。

大型ディップコーター
大型ディップコーター
スプレーコーター
スプレーコーター
 

5. お問合せ

ハードコートの塗工方法の種類から選定方法、ハードコートの仕様、ニデックの塗工方法までを解説させていただきましたが、まだまだわからないこともあるかと思います。
ハードコート塗工について、わからないことや相談したいことがありましたら、以下のお問い合せフォームより、お気軽にお問い合せください。弊社で検討の上、ご要望に適したご提案をさせていただきます。



※全ての画像はイメージです。



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