塗料(ハードコート)の硬化方法 -3つの硬化方法とメリット・デメリット-
製品の表面を傷や汚れから守るハードコートの塗料。その硬化方法はいくつかあり、それぞれメリット・デメリットがあります。
また、製品に持たせたいハードコートの特性によって、適した塗料・硬化方法を選択する必要があります。
こういったハードコートの塗料の硬化方法について、お問合せをいただくことがありますので、今回解説させていただきます。ハードコート塗工をご検討の際、ご参考にしていただければと存じます。
1. 一般的な塗料の構成
一般的な塗料は、溶媒(有機溶剤など)と塗膜の2つの成分で構成される液体です。
(溶媒は主に塗料の粘度を下げ、製品をきれいにコーティングするために使用されます)
この液体を製品にコーティングして溶媒を揮発させると、塗膜成分が表面に残ります。
さらに、塗膜成分に熱・光などのエネルギーなどを与えて硬化させると、
製品の表面を傷や汚れから守るハードコートなどになります。
塗料(ハードコート)の塗工プロセス
2. 塗料の硬化方法(原理・仕組み)
塗料に含まれる溶媒を揮発させるだけの塗膜もありますが、多くの塗膜はエネルギーなどを与えることにより
硬化し性能を発揮します。
代表的な硬化方法としては、UV(紫外線)硬化、熱硬化、常温(湿気)硬化があります。
これらの硬化方法によって、塗膜成分が網目状に重合し、塗膜が硬化します。
UV(紫外線)硬化
UV光を受けた光重合開始剤が励起しラジカルを発生させ、塗膜成分が重合していきます。
熱硬化
熱により化学反応を促進させ、塗膜成分が重合していきます。
常温(湿気)硬化
空気中の水分と接することで化学反応を起こし、塗膜成分が重合していきます。
一般的な接着剤の硬化にも使われています。
3. 塗料の硬化方法によるメリット・デメリット比較
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硬化方法 | メリット | デメリット |
UV硬化 | ・硬化時間が非常に短く、生産性が良い ・高速塗工が可能 ・低温硬化が可能 ・塗料ライフが長い |
・UV(紫外線)照射装置/UV照射が必要 ・遮光状態で塗料の保管が必要 |
熱硬化 | ・熱処理装置(オーブン等)のみの設備で良い ・高温処理により、物性値の向上が可能 ・製品形状に拘らず硬化可能 |
・熱硬化時間が長く生産性が悪い ・高温処理が必要な場合がある ・塗料ライフが短い |
常温(湿気) 硬化 |
・硬化装置が不要 ・製品形状に拘らず硬化可能 |
・物性値(密着性・硬度・擦傷性)が低い傾向 ・塗料ライフが短い |
ここまで一般的な塗料の硬化方法について説明しましたが、
まずは製品にどのような特性を持たせるかを考えて塗料を選択する必要があります。
4. ニデックの塗料(ハードコート)
ニデックでは各種特性をラインアップ。生産性に優れた独自設計のUV硬化塗料を製造販売しています。硬化方法の例(Acierの場合)
❶ Acier(アシェル)をバーコーターで塗工する。(Dry膜厚約11 μm)
❷ 温風オーブンで70℃, 約1分加熱し、Acier(アシェル)に含まれる溶媒を揮発させる。
❸ 高圧水銀ランプで1,000 mJ/cm2のUV光を照射し塗膜を硬化させる。
UV光の補足 |
5. お問合せ
ハードコートの塗料の硬化方法について、ご要望やご相談などございましたら、お問合わせフォームより、
お気軽にお問合せください。弊社で検討の上、ご要望に適したご提案をさせていただきます。
※全ての画像はイメージです。