塗料(ハードコート)の硬化方法
1. 一般的な塗料の構成とは
一般的な塗料は有機溶剤などの溶媒と塗膜成分から構成される液体です。
(溶媒は主に塗料の粘度を下げ、製品にきれいにコーティングするために使用します)
この液体を対象製品にコーティングをして溶媒を揮発させると、塗膜成分が表面に残ります。
この塗膜成分に熱、光などのエネルギーなどを与えることにより硬化させると、
製品の表面を傷や汚れから守るハードコートなどになります。
2. 塗料の硬化方法
塗料に含まれる溶媒を揮発させただけの塗膜もありますが、多くはエネルギーなどを与えることにより
硬化し性能を発揮させます。
代表的な硬化方法としては、UV(紫外線)硬化、熱硬化、常温(湿気)硬化があります。
その硬化方法によって、塗膜成分が網目状に重合していき、塗膜が硬化します。
- UV(紫外線)硬化
UV光を受けた光重合開始剤が励起しラジカルを発生させ、塗膜成分が重合していきます。
- 熱硬化
熱により化学反応を促進させ、塗膜成分が重合していきます。
- 常温(湿気)硬化
空気中の水分と接することで化学反応を起こし、塗膜成分が重合していきます。
一般的な接着剤の硬化にも使われています。
3. 塗料の硬化方法によるメリット、デメリット
塗料の硬化方法によるメリット比較表
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硬化方法 | メリット | デメリット |
UV硬化 | ・硬化時間が非常に短く、生産性が良い ・高速塗工が可能 ・低温硬化が可能 ・塗料ライフが長い |
・UV(紫外線)照射装置/UV照射が必要 ・遮光状態で塗料の保管が必要 |
熱硬化 | ・熱処理装置(オーブン等)のみの設備で良い ・高温処理により、物性値の向上が可能 ・製品形状に拘らず硬化可能 |
・熱硬化時間が長く生産性が悪い ・高温処理が必要な場合がある ・塗料ライフが短い |
常温(湿気)硬化 | ・硬化装置が不要 ・製品形状に拘らず硬化可能 |
・物性値(密着性・硬度・擦傷性)が低い傾向 ・塗料ライフが短い |
一般的な塗料の硬化方法について説明しましたが、
まずは製品にどのような特性を持たせるかを考えて塗料を選択する必要があります。
4. ニデックの塗料(ハードコート)
ニデックでは、生産性に優れたUV硬化塗料を独自設計して製造販売しています。製品例
- 高硬度ハードコート剤Acier(アシェル)【鉛筆硬度が高い】
- 耐擦傷性ハードコート剤Preveil(プリベール)【擦傷性が高い】
硬化方法の一例として、Acierの硬化方法を以下にご紹介します。
- Acierをバーコーターで塗工する。(Dry膜厚11 μm程)
- 温風オーブンで70℃, 1 min程加熱し、Acierに含まれる溶媒を揮発させる。
- 高圧水銀ランプで1,000 mJ/cm2のUV光を照射し塗膜を硬化させる。
※補足
UV光(紫外線)とは波長10~400 nmの光を指します。
太陽光に含まれており日焼けの原因となります。また殺菌効果があります。
ニデックのUV硬化塗料は高圧水銀ランプを用い硬化させます。
プラスチック製品に入る傷を防ぎたい場合はまずニデックにご相談ください。