ハードコートの種類 -有機、無機、ハイブリッド/コンポジットの違いとは?-
本記事では、ハードコートを材料ごと(有機、無機、有機・無機ハイブリッド/コンポジット)に分類し、それぞれの特性と違いを解説します。あわせて、ニデックのハードコート剤が各分類のどこに当てはまるかを紹介します。材料の観点からハードコート剤を選定・比較される際の参考になれば幸いです。
1. ハードコートの種類について
ハードコートの種類について、材料に基づき分類した場合、無機系、有機系に大別することができます。さらに近年では有機と無機の材料の両方を使用した、有機無機ハイブリッド/コンポジット系も実用化されています。以降で各分類の特性を順に解説します。
2. 無機系ハードコート
無機系ハードコートは、硬化後に無機質の薄膜を形成します。無機層のため高硬度の膜が 得られますが、硬脆くなる傾向があり、厚膜でのコートは難しくなります。
プラスチックに用いられる材料としてはアルコキシシラン系が多く、通常は熱による硬化となります。
3. 有機系ハードコート
有機材料のみで構成されるハードコートでは、アクリレートやウレタンアクリレート系のモノマー、オリゴマーが多用され、硬化方法はUV硬化または熱硬化が選ばれます。一般的に、表面硬度と硬化時の収縮・クラック発生はトレードオフとなるため、複数の材料を組み合わせて特性を調製します。材料の選択により、表面硬度を優先するタイプから柔軟性を優先するタイプまで、多様な特性のハードコートが調製可能です。
4. 有機・無機ハイブリッド/コンポジットハード
有機材料と無機材料を分子あるいはナノレベルで化学的に結合または相互作用させることによって得られるハイブリッド/コンポジット*材料が、両方の特性を併せ持つ材料として注目され、幅広く検討されてきました。
*有機材料と無機材料の間に化学的な結合がある場合を「ハイブリッド」、結合がなく相互作用や混合のみの場合を「コンポジット」と分ける場合があります。
均一分散の重要性
有機材料と無機材料を混合しただけでは、表面のぬれ性の差により凝集などが起こり、全体が均一とならず両成分の特性を併せ持つどころか、打ち消しあってしまう場合もあります。両成分を均一分散することで、双方の優れた特性を維持した新たな材料の作製が可能になります。
無機成分(代表例:シリカ)
有機・無機ハイブリッド/コンポジット材料の無機成分としては、入手性とコスト面で扱いやすいシリカ粒子が多用されます。シリカの屈折率(約1.4〜1.5)はPMMA(約1.49)に近いため、混合しても界面反射が起こりにくく、透明性を確保しやすいのが特徴です。一方で、粒径が50 nmを超えると散乱の影響で透明性が低下しやすくなります。使用する材料に合わせて無機成分の粒子を変えることで、有機・無機ハイブリッド/コンポジット材料の屈折率を調整することも可能です。
特徴
有機・無機ハイブリッドハードコート
無機成分が有機成分と結合しているためマトリックス中から脱落しにくいことが特長です。
作製時は化学反応を伴うため、工程が増えます。
有機・無機コンポジットハードコート
作製は比較的容易です。粒子の表面改質により相溶性を高めることで、安定した分散が可能です。
共通
有機系ハードコートに比べ、無機成分の添加により硬化収縮を低減できます。

5. ニデックのハードコート
ニデックでは、下表のとおり、UV硬化型の有機・無機ハイブリッドハードコート剤「Acier(アシェル)」をはじめ、用途・要求特性に合わせた各種ハードコート剤をラインアップしています。
| 製品名 | 種類 | 特徴 | 硬化方法 | |
| Acier | 有機・無機 ハイブリッドハードコ―ト |
硬さ重視 | 高硬度で耐擦傷性と防汚性を有するハードコート剤。 | UV硬化型 |
| Preveil N | 有機系 ハードコート |
耐キズ付き重視 | 特殊樹脂の配合により、優れた耐擦傷性能に加え、柔軟性を有するハードコート剤。 | UV硬化型 |
| Preveil B | 柔軟性重視 | 高耐擦傷性と耐久屈曲性を有するハードコート剤。透明PIフィルム等のフレキシブル用。 | UV硬化型 | |
| PROTEGER UVR4000 | 屋外向け | 屋外・外装用プラスチック基材(ポリカーボネートなど)用に開発した耐光/候性を付与したハードコート剤。 | UV硬化型 | |
6. お問合せ
ニデックでは、用途に応じてお選びいただける多様なUV 硬化型ハードコート剤ラインアップをご用意しています。
ハードコート剤の選定や各種樹脂への塗工可否など、ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。用途に合わせて、最適なご提案をさせていただきます。
※全ての画像はイメージです。







