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樹脂を薬品劣化から守るには?-ハードコートの耐薬品性を解説-

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樹脂を薬品劣化から守るには?-ハードコートの耐薬品性を解説-
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医療機器の清拭作業や、製造現場の設備洗浄では、 アルコールや薬品を使った拭き取りや洗浄が日常的に行われます。そのため、機器の外装やレンズなどの樹脂部品には、薬品による劣化を防ぐ対策が必要となります。
本記事では、樹脂を薬品劣化から守るための手段として注目される、耐薬品性を備えたハードコートについて解説します。樹脂の薬品劣化対策をご検討される際の参考になれば幸いです。




1. 樹脂が薬品で劣化するメカニズム

樹脂(プラスチック)は薬品に接触すると、表面から薬品が浸透し、分子構造に影響を与えることがあります。
これが白化(くもり)やクラックなどの劣化につながる主な原因です。
代表的な劣化メカニズムには以下があります。

環境応力割れ(ESC:Environmental Stress Cracking)

薬品が樹脂内部に浸透し、内部応力と反応して微細な亀裂を生じる現象です。
無応力状態では起こりにくく、薬品と応力が同時に作用した場合に発生することがあります。
PC(ポリカーボネート)やPMMA(アクリル)で発生しやすい劣化として知られています。

環境応力割れ

表層の膨潤と白化(くもり)

一部の薬品は樹脂表面に浸透し、表層を変質させることがあります。
このとき表面がわずかに膨らんだり(いわゆる膨潤)、乾燥時に収縮することで、微細なくもり(白化)が生じる場合があります。

白化

樹脂ごとの差異

樹脂ごとに分子構造や極性が異なるため、薬品が浸透しやすい素材と、影響を受けにくい素材があります。
同じ薬品に触れても、PCやPMMAのように白化しやすい樹脂もあれば、影響の小さい樹脂もあります。



2. 薬品が樹脂へ与える影響

医療や産業用途で使用される薬品にはさまざまな種類がありますが、樹脂には次のような影響が生じる場合があります。

有機溶剤(メタノール、アセトンなど)

  • 樹脂表層に浸透しやすく、白化やひび割れが起こりやすい
  • アセトンは PC/PMMA を短時間で白化・変質させることがある

酸・塩類(HCl、NaCl など)

  • 低濃度では影響が小さいことも多い
  • 条件により表面の変色・脆化や 膨潤/収縮 が生じる場合がある

アルカリ(NaOH)

  • 膨潤/収縮や白化が生じる場合がある
  • 濃度が高いと水弾き性の低下が起こることがある

医療用薬品(次亜塩素酸、過酸化水素水、ベンザルコニウムなど)

  • くもりや変色が生じる場合がある
  • 繰り返しの清拭で影響が蓄積することがある

※いずれの薬品でも、応力が作用すると環境応力割れ(ESC)が生じる場合があります。




3. 樹脂を薬品劣化から守る方法

樹脂の薬品劣化を防ぐ方法は、主に次の2つがあります。
実際に使用される薬品や条件に応じて、適切な方法を検討することが重要です。

樹脂素材を変更する

樹脂は素材ごとに薬品への耐性が大きく異なるため、耐薬品性の高い素材を選ぶことで劣化を抑えられる場合があります。ただし、透明性や成形性、コストなどの制約により、素材変更が難しいケースも少なくありません。

PC(ポリカーボネート)、PMMA(アクリル) 有機溶剤に弱い
PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン) 有機溶剤に強い

表面処理(ハードコート)で保護する

樹脂の表面に保護層を形成し、薬品が樹脂に直接触れないようにする方法です。
表面にハードコート塗工をすることで、薬品による樹脂の変質や外観劣化の対策となります。

ハードコート塗工イメージ




4. 耐薬品性を備えたハードコートとは

ハードコートは、樹脂が薬品や傷によって劣化するのを防ぐため、樹脂表面に形成した薄い保護膜(コート層)です。
耐薬品性を高めるためには、ハードコート剤の性質だけでなく、硬度や密着性といった要素が関係します。

耐薬品性を左右する主なポイント

硬度
表面の変形を抑え、微細な傷から薬品が侵入するのを防ぎやすくなる。

密着性
密着性が高いことで膜の浮きが起こりにくく、剥離や白化の発生を抑えやすくなる。





5. UV硬化型ハードコート剤Acierの耐薬品性評価結果

ニデックでプラスチック基材向けに独自開発した、UV硬化型ハードコート剤「Acier(アシエル)」をご紹介します。高硬度、高密着性で耐薬品に適したハードコート剤です。
以下は実際の使用環境を想定した薬品に対し、ハードコート剤Acierの耐薬品性を評価した結果です。
主要な薬品に対して、外観の変化なく安定した状態を維持していることを確認しています。

分類 薬品 試験条件・方法 結果
有機溶剤 メタノール 10 mm のガーゼに染み込ませ室温にて
60分間放置。その後流水にて洗浄
外観、密着性問題無し
アセトン 同上 外観、密着性問題無し
10% HCl水溶液 同上 外観、密着性問題無し
塩類 10% NaCl水溶液 同上 外観、密着性問題無し
アルカリ 5% NaOH水溶液 10 mm のガーゼに染み込ませ室温にて
30分間放置。その後流水にて洗浄
外観、密着性問題無し
10% NaOH水溶液 10 mm のガーゼに染み込ませ室温にて
60分間放置。その後流水にて洗浄
外観、密着性問題無し
37.5% NaOH水溶液 10 mm のガーゼに染み込ませ室温にて
1分間放置。その後流水にて洗浄
外観、密着性問題無し
医療薬品 次亜塩素酸ナトリウム0.1% 30分間の浸漬 外観、密着性問題無し
過酸化水素水0.5% 片面を布片で塗布・清拭 外観、密着性問題無し
グルタラール3.5% 60分間の浸漬 外観、密着性問題無し
塩化ベンザルコニウム0.2% 30分間の浸漬 外観、密着性問題無し
アルキルポリアミノエチルグリシン0.5% 片面を布片で塗布・清拭 外観、密着性問題無し
エタノール(消毒用)原液 同上 外観、密着性問題無し

※ 使用基材:PMMA 基材
※ アルカリ性の薬品結果において外観・密着性は問題ないが、試験部分で水の弾きがなくなる現象を確認
※ 参考値であり、保証値ではありません

Acier製品ページ

光学特性や初期物性など、ハードコート剤Acier
特性はこちらよりご確認いただけます。

Acier



6. お問合せ

ニデックでは、耐薬品性をはじめ、さまざまな環境に対応する特性を付与したハードコート製品を取り揃えています。樹脂の種類や使用条件によって、求められるハードコート剤の特性は変わります。
ハードコート剤の選定に迷われた際や、ハードコートについて不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。


※全ての画像はイメージです。


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