片面ARコートと両面ARコート - 反射防止効果の差は?-
ARコート(反射防止膜)について、「どれくらい効果がありますか?」「ARコートは高価ですが、片面ARコートと両面ARコートでは、どれくらい効果に差が出ますか?」といったお問い合わせをよくいただきます。この回答として、片面ARコートと両面ARコートの違いによる、反射防止効果の差について解説させていただきます。
ARコートをご検討される際のご参考にしていただければと思います。
1. 片面ARコートと両面ARコートの特性差
ARコート(反射防止膜)の特性は様々ですが、ここでは弊社が得意とする真空蒸着による低反射の多層コート(可視域のARコート)を例に挙げて、片面ARコートと両面ARコートの特性差を比較します。
透明なPMMAシートのARコートなし・片面ARコート・両面ARコートの反射率・透過率(@550nm)はおおよそ以下となります。
ARコートなし | 片面ARコート | 両面ARコート | |
反射率 | 約8.0% | 約4.2% | 約0.4% |
構成 イメージ |
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透過率 | 約92.0% | 約95.8% | 約99.6% |
このように、透明なPMMAシートのコート無しの片面表面反射率は約4.0%となり、ARコート加工を施すことで、片面反射率は約0.2%になります。両面反射率は、ARコートなしの場合、約8.0%、片面ARコートの場合、約4.2%、両面ARコートの場合、約0.4%となります。この差がARコートの反射防止効果の差となります。
また、透過率は、ARコートなしの場合、約92.0%、片面ARコートの場合、約95.8%、両面ARコートの場合、約99.6%となります。
もう少し詳しく、反射率特性を比較してみます。
片面反射率特性において、以下の可視域のARコートで比較します。
上記の反射率特性は、片面のみの反射率を測定した場合の片面反射率特性となります。
裏面反射も含めた両面反射率をARコートなし・片面ARコート・両面ARコートで比較すると次のような特性の差となります。
また、透過率特性は以下の差となります。
フィルム用ARコート専用機「超大型連続式蒸着機」
2. 片面ARコートと両面ARコートの見え方の差
ここまでは片面ARコートと両面ARコートの反射率・透過率の数値や特性について説明しました。
では、実際の見え方にはどれくらいの差があるのでしょうか。
この画像は3分割のPMMAシート(左からARコートなし・片面ARコート・両面ARコート)を液晶ディスプレイの前に設置して、窓のカーテンを映り込ませて撮影した画像です。ARコートなしの部分は、カーテンの映り込みがはっきり見え、片面ARコートの部分は、カーテンの映り込みが若干弱まり、両面ARコートの部分は、カーテンの映り込みがほとんど見えなくなっています。反射率の差(ARコートなし:約8.0%、片面ARコート:約4.2%、両面ARコート:約0.4%)が、この見え方の差となります。
3. お問合せ
今回は、片面ARコートと両面ARコートの反射防止効果の差について解説させていただきました。片面ARコートよりも両面ARコートの方が、より反射防止効果を発揮することがおわかりいただけたかと思います。
しかし、必ずしも両面ARコートを採用すればよいというわけではありません。ARコート加工をする基材の形状・コストなどの条件によっては、片面ARコートを採用した方がよい場合もあります。
片面ARコート・両面ARコートを検討される際に、今回の内容を参考にしていただければと思います。
その他、ARコートについて、わからないことや相談したいことがございましたら、以下のお問合せフォームより、お気軽にお問合せください。弊社で検討の上、ご要望に適したご提案をさせていただきます。
また、「両面ARコート付きのPMMAシートを検討評価用に購入したい」という多くのご要望にお応えするため、WEB販売をはじめましたのでご紹介させていただきます。以下リンク先(楽天市場)より、小さなサイズで1枚からご購入いただけます。ぜひお試しください。
※全ての画像はイメージです。