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コーティング事例紹介vol.3「反射防止膜(ARコート)付きフィルム」

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コーティング事例紹介vol.3「反射防止膜(ARコート)付きフィルム」

今回は、フィルムへの反射防止膜(ARコート)事例を2件ご紹介します。
モニター画面を保護するフィルムにおいて、もっと見やすくしたい、汚れを拭き取りやすくしたいなどのお悩みに対して、反射防止膜(ARコート)+防汚コートを活用した事例となります。
コーティングを活用した付加価値製品の事例として、ご参考にしていただければと存じます。


1.車載ナビゲーション用フィルムへの片面ARコート

車載ナビゲーション用フィルム
背景

車載ナビゲーションやインフォメーションディスプレイの表面には、表面反射を抑えるため、AG(アンチグレア)ハードコート付きフィルム(PET、TAC、PCフィルムなど)が使用されています。近年、車載用ディスプレイの高精細化に伴い、より見やすい画面にしたい、汚れが目立たず、拭き取りやすい表面にしたいなど、ディスプレイ用のフィルムは、日々良いものが求められています。
こういったご要望の対応策として、フィルムへ反射防止膜(ARコート)加工をすることで、表面反射をさらに抑えることができます。フィルムへのARコートはWet式で数層のロール・トゥ・ロール方式の製品が多いのですが、さらに低反射、かつ外観品質が良いものが欲しいとのご要望をいただきました。

お客様のお悩み

  • 低反射、かつ外観品質の良い反射防止膜(ARコート)をフィルムへ加工したい
  • フィルム構成 表面:各種AG or クリアハードコート/裏面:OCA+セパレートフィルム付き
  • 汚れが付きにくく、ふき取りやすい表面

ニデックの提案

  • 枚葉式の真空蒸着による低反射な反射防止膜(ARコート)「Lequa-Dry(レクアドライ)」を提案
  • 最表面は、汚れを拭き取りやすくした防汚コート層で提案

解説
Lequa-Dry(レクアドライ)」は、真空蒸着法により4~7層程度を積層し、低反射な反射防止膜(ARコート)。各種フィルムに合わせて密着性、耐久性を考慮した層構成を検討し、最表面の防汚コートも真空加工により、高い防汚性能を確保。(代表的な特性は、図1・表1参照)
また、標準加工サイズ380 mm × 310 mmの枚葉式の加工対応を行っており、枚葉方式における工程づくり、品質管理を行うことで、高品質なARコートを実現。(クラス3,000以下(実測100~500程度)のクリーンルームで加工作業・検査を実施)


図1. Lequa-Dry(ARコート)反射率特性
Lequa-Dry(ARコート)反射率特性
表1. 物性値

項目 試験条件 結果
擦傷性 スチールウール#0000, 1.0 kg荷重 5往復 キズ15本以下
接触角 θ/2法による 105°以上
密着性 クロスハッチセロハンテープ剥離法(3回) 異常なし
耐熱性 80℃, 1000 h 異常なし
耐湿性 60℃, 95%, 1000 h 異常なし
耐光性 キセノン BP=63℃, 250 h 異常なし

※使用基材:ハードコート付きPETフィルム 基材 (厚さ100 μm)
※特性は参考値であり、保証値ではありません

結果

低反射な反射防止膜(ARコート)と防汚コート付きフィルムを実現。様々なAG種のフィルムにも対応でき、表面反射が抑えられた、より見やすく、汚れも拭き取りやすい画面の高精細液晶ディスプレイを実現できました。




2.医療モニター用フィルムへの両面ARコート

医療モニター保護用フィルム
背景

医療現場のモニター画面は、近年アルコール拭き清掃する機会が増えているが、モニター画面にアルコール耐性がなく、白化してしまう場合がある。そのためモニター画面にアルコールなどの薬品に強いフィルムを貼る事で対策できないかと問い合わせをいただきました。一般的なフィルム(ARコートのないフィルム)では、反射が目立ち画面が見にくくなる為、こちらも対策できないかとご相談いただきました。

お客様のお悩み

  • 反射が目立ちにくく、アルコールなどの薬品にも強いフィルムが欲しい
  • 汚れを拭き取りやすいフィルムが欲しい
  • クロス拭きでも擦りキズが入りにくいフィルムが欲しい

ニデックの提案

  • 両面に反射防止膜(ARコート)「Lequa-Dry(レクアドライ)」を加工したPETフィルムを提案
  • フィルムは高硬度ハードコート付きとし、擦りキズも入りにくいフィルムで提案
  • 最表面は、防汚コート加工を施し、汚れを拭き取りやすい表面で提案

解説
今回、モニター画面前面へ貼合するのではなく、簡単に周辺部のみに両面テープを貼り、モニター部に設置する用途であったため、より効果のある両面に低反射のARコート加工を行う仕様を提案。(ARコートのない一般的なフィルムの透過率約92%に対して、両面「Lequa-Dry(レクアドライ)」を加工したフィルムの透過率は約99%。)
また、表面は擦りキズ対策として、高硬度ハードコート塗工品を検討し、さらにアルコールなどの耐薬品性も備えたARコート構成を検討。(表面の擦り試験の結果、耐薬品性は、図2・表2参照)


図2. マイクロファイバークロスで50回擦る実験結果
一般的なフィルム
一般的なフィルム
提案フィルム
提案フィルム

表2. 提案フィルムの耐薬品性

分類 一般薬品名 濃度 評価方法 結果
塩素系 次亜塩素酸ナトリウム 0.1% 布片に塗布し、
500 gで20往復
問題なし
塩素系 次亜塩素酸水 3.5% 問題なし
酸素系 過酸化水素水 0.5% 問題なし
アルデヒド系 グルタラール 3.5% 問題なし
第四級アンモニウム塩 ベンザルコニウム塩化物液 0.2% 問題なし
両面界面活性剤 アルキルジアミノエチルグリシン 0.5%  問題なし
アルコール系 消毒用エタノール 70% 問題なし

※特性は参考値であり、保証値ではありません

結果

医療モニター用フィルムとして、反射が目立ちにくく、アルコールなどの耐薬品性に強く、クロス拭き清掃にも擦りキズが入りにくいフィルムを実現し、提供することができました。このフィルムは汚れも拭き取りやすく、清掃作業のしやすさにも繋がりました。




3. お問合せ

フィルムへの反射防止膜(ARコート)「Lequa-Dry(レクアドライ)」の事例を2件ご紹介させて頂きましたが、このようにフィルムの反射に対して、真空蒸着による低反射のARコートを活用できるケースがあります。表面反射に困っていること、ご相談ごとやご要望などございましたら、以下のお問い合せフォームよりお気軽にお問い合せください。弊社で検討の上、お客様のご要望に適したご提案をさせて頂きます。



※画像はイメージです。



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