1. HOME
  2. コーティング豆知識
  3. その他 コーティング関連コラム
  4. 平坦度・反り・形状を測定 -ARグラス用基板の品質管理に-

コーティング豆知識

平坦度・反り・形状を測定 -ARグラス用基板の品質管理に-

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
平坦度・反り・形状を測定 -ARグラス用基板の品質管理に-
お問合せ

近年、ARグラスの進化に伴い、導波路の高精細化や薄型化が急速に進んでいます。これにより、基材の反りや平坦性、形状といった要素に対する品質管理の重要性が高まっています。特に、コーティングによって形状が変化するケースもあり、これらの変化を適切に管理することが求められております。
今回は、このような基材の管理、コーティング前後の反りや形状が確認できる測定方法「FT(フラットネステスター)」について、ご紹介します。基材形状の品質管理としてご参考となれば幸いです。



1. コーティングによる表面形状変化

多くのコーティング(薄膜)は少なからず内部応力を有しているため、基板にコーティングを施すと反りが生じ、基板が変形する場合があります。特に、コーティング部品を半導体やARグラスなど精密機械に組み込む際は、外観では判別できない表面形状の管理が求められ、ミクロンオーダーの測定や管理が必要となります。

こうした反りなどの表面形状を測定するの代表的な方法として、弊社が製造・販売しているフラットネステスター(FT-900)が活用できます。高精度な非接触式測定により膜形成前後の基板の反りや平坦度の変化を定量的に把握することが可能です。

フラットネステスター1
フラットネステスター2


薄膜の内部応力とは

成膜後に膜内に残る応力のことであり、熱的・機械的・化学的な要因によって発生し、大きく 引張応力 と 圧縮応力 に分類されます。引っ張り応力は薄膜を内側にし基板を凹型に、圧縮応力は薄膜を外側にし基板を凸型に変形させる力が働きます。

  • 引張応力(基材を凹型方向):膜が基板から剥がれようとする力、クラック発生の要因
  • 圧縮応力(基材を凸型方向):膜が基板に押し付けられる力、しわや剥離の発生の要因



2. ニデックのFT(フラットネステスター)の技術と特長

ニデックのレーザ光斜入射干渉計による干渉縞を位相シフト法を利用したフラットネステスター(FT-900)をご紹介します。

測定時間わずか6秒

  • 全面を一括解析により、最短6秒で測定データが取得可能。

各種形状、透明体の測定が可能

  • 角型や任意形状、粗面から鏡面、透明体や穴あきまで幅広く対応。
  • 半導体用ウェーハ(シリコン、化合物、酸化物、ガラス)、ハードディスクドライブ(HDD)用磁気ディスク(アルミ、ガラス)、ARグラス用基板(樹脂、ガラス)、産業用金属片などの測定が可能。

デジタル測定

  • 専用解析装置によるシステム制御、画像解析により、3D解析、ストレス解析、厚さムラ解析が可能。
  • キャリブレーションが不要。

豊富なオプション群

  • 使用用途に応じた豊富な受台、ストレス解析ソフト、部分測定対応に任意エリアソフトなどのオプション選択が可能。


装置の詳細はこちら▼

FT-900

※別サイトへのリンクボタンです。




3. 測定例

平坦度・反り・形状測定

Φ100mm、厚さ490μm、透明ガラス基板における平坦度の測定結果が以下となります。
見た目ではほとんど見分けることができませんが、フラットネステスター(FT)で測定すると、表面の中央が高く、徐々に周辺が低くなっていることが分かります。等高線図では中心が高い輪郭、断面図では、山型の曲線として確認することができます。

反り・形状測定

Φ150mm、厚さ700μm、SiC基板における形状(SORI)・平坦度(GBIR)の測定結果が以下となります。
以下は同じSiC基板の測定結果となり、形状(SORI)と平坦度(GBIR)の両者を確認することができます。

形状(SORI)

形状(SORI)
平坦度(GBIR)

平坦度(GBIR)


応力(ストレス)解析

Φ100mm、厚さ500μm、Si基板におけるコーティング前後の測定結果、及び応力による変化量(ストレス解析)の結果が以下となります。
ウェーハ(基材)の材質名、ヤング率、ポアソン比、厚さなどを入力することで、各ポイントでの応力(ストレス)解析が可能となります。

応力解析1
膜付け前に測定
応力解析2
膜付け後に測定

※以下のデータは一例であり、上記画像サンプルの結果ではありません。

反り・形状測定

適用例

以下の製品や分野の基材の測定管理への検討ができます。

  • ウェイブガイド、ナノインプリント用基板、サポート基板などのARグラス向け基板(樹脂や透明基板も可能)
  • SiC、LNなどの化合物半導体向け基板
  • ガラス、アルミのハードディスク基板(透明基板も可能)
  • LED向けのサファイア基板
など
適用例1
適用例2



4.お問合せ

コーティング(薄膜)の内部応力は基板の表面形状に影響を与える可能性があります。フラットネステスター(FT-900)による前後の測定で、微細な形状変化を把握し、製品の歩留まり向上と品質管理の検討が可能となります。
基材やコーティング前後の形状管理、フラットネステスター(FT-900)について、ご不明な点やご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

サンプル測定のご依頼も承っております。ぜひご相談ください。

この記事に関連するページ

ARグラスの表面処理技術
FT(フラットネステスター)

※別サイトへのリンクボタンです。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連ページ

コーティング製品一覧

お問合せ   tel.0533-58-3451

お見積やサンプル提供も可能です。お気軽にお問合せください。



工場見学
※現在、工場見学は実施しておりません。
資料ダウンロード
お問合せ
 
資料ダウンロード