ARコート(反射防止膜)
Anti-Reflective Coating
ARコート(反射防止膜)とは
About
画面が反射して見えにくい、ショーウィンドウの表面が反射して中がよく見えない。なんて思ったことはありませんか? この問題を解決してくれるのが、ARコート(反射防止膜)と呼ばれるものです。
ARコートは、Anti-Reflective coating(Anti-:反対の Reflective:反射する)のことを指し、反射光を低減させるコートのことです。ARコートは、メガネやカメラレンズの表面、ディスプレイ表面、車のメーターパネル表面、光ファイバーの端面など、光と密接に関わる様々な場面で活用されています。
ARコートの原理(仕組み)は、イメージ図の様に光の干渉を利用してます。
コーティング表面の反射光(表面反射)と基板の表面の反射光(裏面反射)の干渉を利用しており、それぞれの反射光の波の山部と谷部を打ち消し合う様に制御することで反射防止性能が機能します。
これは異なる物質の組み合わせと膜厚制御を行うことで可能となります。
一方、透過光は、表面反射が打ち消し合う条件の際に、波が重なり合い、増加することになります。
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ARコートって何?ARコートの効果は?ARコート製品はどうやって作られているの?
ニデックの工場で、真空蒸着技術によりARコート製品ができるまでの流れを動画でご紹介いたします。 -
ARコート製品一覧
Lineup
ARコート製品一覧
Lineup
ニデックのARコートの特長
Features
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POINT 1 最適化設計
人の目で認識できる波長は380~780 nmとされています。この中で人が一番認識できるのは550 nm付近(緑色の光)となります。ニデックのスタンダードARコートは、基材の屈折率に合わせて、各種物質の組み合わせを行い、この550 nm付近の反射率が最も低くなるように設計したコートとしています。
ご要望により各種基材、仕様(紫外~赤外線まで)に合わせたカスタマイズ設計対応もしております。 -
POINT 2 真空蒸着・ウェット法
ARコートのコーティング処理方法は、乾式法と湿式法に分かれ、乾式法は、真空蒸着やスパッタ、化学気相成長(CVD)、湿式法は、ディッピングやダイコートなどがあります。
その中でも真空蒸着は、装置や手順がシンプルで成膜速度が速く、コストも低く抑えられ、プラスチックやフィルムなどの低温加工にも適していることからLequa-Dry(レクアドライ)の加工方法としています。
また、大面積かつコストを抑えた湿式法(ダイコート)によるLequa-Wet(レクアウェット)もラインアップしています。 -
POINT 3 大型サイズと生産設備
お客様のさまざまなニーズにお応えするため、個別設計の受注や量産にも対応したコーティング製品を用意しています。
真空蒸着技術による反射防止コート「Lequa-Dry(レクアドライ)」は、自社開発した超大型連続式蒸着機含む十数台の大型連続式蒸着機を保有しており、最大1000 × 600 mmサイズ、月産約34,000 m2までの量産対応が可能です。
湿式法(ダイコート)による反射防止膜「Lequa-Wet(レクアウェット)」は、最大1400 × 1200 mmサイズまでの量産対応が可能です。また、生産機とは別に研究開発用の蒸着機を保有しており、常に新たな技術の研究を行っております。
ARコートの豆知識
Trivia
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真空蒸着
乾式法
物理気相成長(PVD)の一種。
真空にしたチャンバー内でアルミニウム、銀、ニッケルといった金属や二酸化ケイ素、酸化チタンといった酸化物等の材料を加熱し、蒸発させることで離れた位置に設置した基材表面に材料を堆積させ、薄膜を形成する方法。
蒸着材料、基板の種類により、加熱方法は、抵抗加熱、電子ビーム、高周波誘導、レーザーなどを用いる。 -
スパッタ
乾式法
物理気相成長(PVD)の一種。
ターゲットに高エネルギーのイオンなどを衝突させ、弾き飛ばされた原子分子を基板表面上に膜として堆積する方法。
スパッタは、スパッタリング法とも呼ばれている。 -
ダイコート
湿式法
スリットダイ(スロットダイ)からコート剤を押し出しながら塗工する方式。
シートや、フィルム(平面形状)への塗工が可能となり、密閉系の塗工方式で大面積へ安定的に高速塗工が可能な方法。 -
ディッピング
湿式法
加工対象となるものをコート剤(塗料や薬剤など)の中に浸漬して塗工する方法。
同時に両面加工が可能であり、様々な形状へ加工が可能という特長がある。 -
反射率
物体が光を反射する割合のこと。
反射率(R%)と透過率(T%)、吸収率(A%)を合わせると入射した光量(R+T+A=100%)となる。
よくある質問
Q&A
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