ハードコートの欠陥と対策

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キズ・汚れから守るハードコート塗工において、製品価値を損なわないため、塗工部分の見栄え(仕上がり状態)、外観品質は非常に重要です。しかし、ハードコート塗工の工程の中では、外観品質に悪影響を及ぼす様々な欠陥が生じることがあります。そのため、これらの欠陥の現象を理解し、対策を行う必要があります。ここでは、ハードコートの欠陥の原因と対策例をお伝えしていきます。ハードコート塗工をご検討される場合のご参考にしていただければと思います。

1. ハードコートの塗工プロセス

ハードコートの欠陥対策を検討する上で、まずハードコートの塗工プロセス(工程)を理解する必要があります。ハードコートの塗工プロセスは、以下のイメージ図の通り、大きく分けて①準備・表面処理 ②塗工 ③乾燥 ④硬化 の4工程があります。また、②塗工においても、DIPコーター、ダイコーター、スプレーコーター、バーコーターなどその塗工方法も各種あり、③乾燥条件 ④硬化条件も様々です。そのため、各種条件にあった対策検討が必要にはなりますが、ここでは代表的な欠陥について、説明します。


ハードコートの塗工プロセス

 

2. ハードコートの欠陥と対策

ハードコート塗工において発生する、代表的な欠陥と対策例をご紹介します。

ブツ 欠陥 基材上に存在する異物及びハードコート剤に存在する異物が原因で発生する現象。
   
対策
  • 基材の付着物対策、基材の洗浄、静電気対策
  • 空気中のホコリ対策、クリーンな環境にする
  • ハードコート剤の濾過条件対策


タレ・タマリ 欠陥 部分的に塗料がたれて、盛り上がったり、溜まっている現象。
   
対策
  • 塗工条件(速度、厚みなど)の変更による対策
  • ハードコート剤の粘度調整(希釈率調整)による対策
  • 製品形状の変更


はじき 欠陥 基材とハードコート剤の濡れ性が悪く、塗工後にハードコート剤が弾かれ、均一に塗工できていない現象。
   
対策
  • 基材の洗浄条件による対策(プラズマ処理など)
  • 油分対策(作業の見直し)、クリーンな環境にする
  • 静電気対策


ゆず肌 欠陥 ゆずの皮のように塗膜表面に凹凸が発生する現象。
   
対策
  • ハードコート剤の溶媒調整(溶媒変更、希釈率調整)による対策
  • 塗工条件(速度、膜厚など)、乾燥条件、硬化条件の変更による対策


白化・くもり 欠陥 熱や光、溶剤などにより、塗膜表面や基材表面が白く濁り
くもった状態になる現象。
   
対策
  • 塗工条件、乾燥条件、硬化条件の変更による対策
  • ハードコート剤の溶媒調整(溶媒変更、希釈率調整)による対策
  • 塗工環境(温度、湿度)に対する対策


ウォータースポット 欠陥 塗膜表面や基材表面に付着した水滴が原因で跡が残ってしまう
現象。
   
対策
  • 基材の洗浄条件による対策
  • エアー洗浄を行っている場合は、エアーの水滴対策


浮き・ふくれ 欠陥 劣化した塗膜が基材から浮き、ふくれてしまう現象。
   
対策
  • 基材の洗浄条件による対策(プラズマ処理など)
  • 乾燥条件、硬化条件の変更による対策
  • ハードコート剤の溶媒調整(溶媒変更、希釈率調整)による対策


クラック 欠陥 熱や紫外線などが原因で割れ・ひびが発生する現象。
   
対策
  • 塗工条件(膜厚)、乾燥条件、硬化条件の変更による対策
  • ハードコート剤の溶媒調整(溶媒変更、希釈率調整)による対策




3. お問合せ

ハードコートの代表的な欠陥とその対策について解説させていただきました。ハードコート剤を仕上がり良く塗工するには各社塗工メーカーの装置にあった塗工条件の検討や、ハードコート剤調整の検討が必要になります。
ニデックでは、主にディップコートによる受託塗工を行っておりますが、今回ご紹介したハードコートの欠陥対策を講じた上で、ハードコート塗工を行っております。
ハードコート剤・ハードコート塗工について、わからないことや相談したいことがありましたら、お気軽にお問合せください。弊社で検討の上、ご要望に適したご提案をさせていただきます。

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