DLC(ディー・エル・シー)とはダイヤモンドライクカーボン(Diamond-Like Carbon)の略であり、炭化水素もしくは炭素を主成分とした膜のことを指し、グラファイト(黒鉛)とダイヤモンドの中間の膜となります。
炭素の構造として原子軌道がsp2混成軌道であるグラファイト(黒鉛)の構造や原子軌道がsp3混成軌道であるダイヤモンドの構造等が一般的に知られています。DLC膜はsp2(グラファイト)とsp3(ダイヤモンド)の構造を併せ持っており、sp2とsp3の比率や、水素が含まれている場合は結晶構造に含まれる水素の比率等によって膜の性質が変化します。
DLCは一般的に高硬度、低摩擦係数、化学的に安定であり耐食性に優れるといった特長が挙げられます。
DLCは、組成にもよりますが、薄膜でありながらダイヤモンドに匹敵する硬さを持たせることも可能であり、且つ低摩擦係数という特徴から工具や機械部品などに使用されています。また、化学的安定性に優れることや高いガスバリア性を持つことから内容物の酸化防止として飲料用ペットボトルの内面に使用されています。但し、DLC膜は無色ではありませんので、薄い茶色に着色されます。
さらに赤外線透過性を持つことから、赤外域の光学部品に対する保護膜としても使用されています。
|
DLCの加工方法は、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)、PVD(Physical Vapor Depositon:物理気相成長)など様々な方法により成膜しますが、原料ガスや加工条件により、DLCの膜特性が変わってきます。
ニデックでは、高周波プラズマを使用したプラズマCVD法によるDLC成膜装置を保有しており、原料ガス、加工条件も独自検討しております。φ240 mm×300 mmサイズまでの基材(絶縁体を含む)に対しての加工が可能です。
因みにプラズマCVD法ではプラズマ化した膜材料中に基材を設置して成膜するという方式である為、スパッタリング法やイオンプレーティング法による加工と比較して複雑形状を持つ基材に対しても均一に成膜することが出来ます。また、比較的低温での成膜が可能な為、樹脂基材への成膜も可能となります。(樹脂によっては密着性が得られないこともあります。)
特に、これまで培った光学技術を応用した2~10 μm帯の遠赤外線用部品、レンズへのDLCの活用を検討、開発をしています。硬度アップ、保護膜としてのDLCのみならず、遠赤外線用のARと組み合わせて光学的にも高い透過性能を併せ持った製品を実現しています。
※特性は参考値であり、保証値ではありません
DLCコート、遠赤外線用部品等にご興味、ご要望等ありましたら、お気軽にお問合せください。