ハードコート用語集

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ハードコートの専門用語を50音順にまとめました。
普段使われない難解な専門用語を、一般のお客様にとってもわかりやすいものとなるよう意訳しました。
専門用語を知る事で、ハードコートの理解をより深めていただけるかと思います。
ぜひご活用ください。

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あ行

IR乾燥

赤外線ヒーターを使用した乾燥方法。


アクリル(PMMA)

正式名称:ポリメチルメタクリレート
光学性能が優れ、高硬度であるが、耐衝撃性に劣り、吸湿しやすい材料。 水族館の大型水槽や表示看板などに使用されている。


アフターキュア

成型、曲げ等の加工後にUVランプを照射して塗膜を硬化させる手法。
逆に、加工前にUVランプを照射して塗膜を硬化させる手法をプレキュアと呼ぶ。


ウォータースポット

塗膜表面や基材表面に付着した水滴が原因で跡が残ってしまう不良現象。


浮き、ふくれ

塗膜が劣化した際に基材から塗膜が浮いてしまい剥がれてしまう不良現象。


鉛筆硬度

硬度を表す指標。
【評価方法の一例】
指定の鉛筆を使用し、基材に対して45°にあて、荷重750gで7mm以上の距離を押す。この動作を鉛筆を回転させながら2回行い、2回の結果が一単位以上異なるときは放棄し、試験をやり直す。きず跡が生じたときは、きず跡が生じなくなるまで硬度スケールを下げて試験を繰り返す。きず跡を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を鉛筆硬度とする。(JIS K 5600 5-4準拠)


黄変

樹脂材料等において、熱や光などにより、塗膜や基材が劣化し、黄色みを帯びてしまう不良現象。


オリゴマー

モノマーが重合したもののことをいい、一般的には重合度が100以下の比較的重合度の低い重合体のことをいう。
UV硬化型のハードコート剤は、モノマーやオリゴマーが重合することでハードコート膜を形成する。


オルガノシラン

炭素原子がケイ素原子と結合した有機ケイ素化合物の総称。



か行

界面活性剤

界面に作用して性質を変化させる物質。
代表的な作用としては、構造に水になじみやすい親水基と油になじみやすい親油基を含んでおり、それぞれが結びつくことで水と油を混ぜ合わすことが可能になったり、表面張力を低下させて濡れ性を向上させることができる。


加水分解

反応物が水に反応して起こる分解反応。
一般的には、熱硬化型のハードコート剤に使用しており、加水分解されたシランカップリング剤を反応させてハードコート膜を形成する。


干渉縞

基材とハードコート剤の屈折率が異なる時に発生する縞模様のこと。


乾燥不良

溶媒の乾燥工程にて乾燥時間が不足した場合に起こる不良現象。
主に白化が発生したり、密着性の低下の原因となる。


クラック

熱や紫外線などが原因で発生する割れ・ひびのこと。


ゲル

ゾルが流動性を失ってゼリー状となったもの。


高圧水銀ランプ

水銀蒸気のみのアーク放電による発光を利用する高輝度放電ランプ。


硬化不足

硬化時にUV硬化型ハードコート剤ではUV照射量が不足していたり、熱硬化型ハードコート剤では加熱時の温度が低い場合や時間が不足した場合に起こる不良現象。
主に物性(鉛筆硬度、耐擦傷性、密着性)低下の原因となる。


固形分

ハードコート剤の有効成分(塗膜を形成する成分)
ハードコート剤は一般的に有機溶剤と固形分で構成されるが、コーティング後に有機溶剤を揮発させることで基材表面に残った有効成分のことを固形分と言う。



さ行

擦傷性

傷の付きにくさを示す指標。
【評価方法の一例】
スチールウール#0000を用いて基材に指定荷重をかけながら、指定回数を往復させる。その往復させた箇所の外観確認を行い、生じたキズを確認する。


COP、COC(シーオーピー、シーオーシー)

正式名称:COP シクロオレフィンポリマー、COC シクロオレフィンコポリマー
吸湿しにくく、精密成形に向いているが、一般的にはハードコートが密着しにくい材料。
光学用レンズやスマートグラスなどに使用されている。


重合

一種類またはそれ以上の単位物質の分子が、二つ以上化学的に結合して、分子量の大きい化合物をつくること。


常温硬化(湿気硬化)

空気中の水分と接することで化学反応を起こし塗膜成分を重合させて硬化させる技術。
常温硬化型ハードコート剤は硬化装置が不要な点や製品形状に拘らず硬化できるといいった特徴を持つ。物性値(密着性・硬度・擦傷性)が低い点や塗料ライフが短いといった欠点もある。


シランカップリング剤

分子内に有機材料と化学結合する官能基と無機材料と化学結合する官能基を有する有機ケイ素化合物。
一般的には、熱硬化型のハードコート剤に使用しており、加水分解されたシランカップリング剤を反応させてハードコート膜を形成する。


スピンコート

塗料を基材に滴下し、基材を回転させることにより塗工する方法。
簡易的な形状で片面コートのみ可能であり、膜厚精度に優れるが、塗料が飛散するために塗料のロスが多い点や高速で回転させるため、大面積の塗工に向かないといった特徴を持つ。


スプレーコート

塗料に高圧をかけて、霧状に噴出させて吹き付けて塗工する方法。
様々な形状にコート可能であるという特長がある。


積算光量

UVランプの光(波長)の中で単位面積当たりに照射した光量の総量。
単位は、mJ/cm2で表す。


接触角

塗膜に滴下した液体面と固体面とがなす角であり、固体表面の濡れ性を示す値である。
接触角が大きい程、液体をよくはじき、接触角が小さい程、液体が濡れやすくなる。
評価を用いる液体として、水、オレイン酸等がある。


ゾル

微粒子が溶液中に分散している状態のもの。
液体なので流動性がある。



た行

耐光性・耐候性

塗膜の光、水分等に対する耐久性を表す指標。
耐光性は、太陽光を想定したUVランプに対する耐久性を示すものであり、耐候性は太陽光を想定したUVランプと雨を想定した水の噴霧を加えた耐久性を示すものである。
評価に用いるUVランプは、太陽光に近いUVランプであるキセノンアークランプや、太陽光の数倍のUV照射強度のサンシャインカーボンアークランプ等があり、促進試験を行う。


ダイコート

スリットダイからコート剤を押し出しながら塗工する方法。
塗着効率が高く、大面積へ均一な塗工が可能という特長がある。


TAC(タック)

正式名称:トリアセチルセルロース
光学特性に優れ、吸湿性が高いが、水分による劣化が進みやすい材料。
偏光板などに使用されている。


タックフリー

塗膜表面を指で触れても指に塗料がつかない状態。


タレ、タマリ

部分的に塗料が垂れて、盛り上がったり、溜まっている現象のこと。


ディップコート

加工対象となるものをコート剤(塗料や薬剤など)の中に浸漬して塗工する方法。
同時に両面加工が可能であり、様々な形状へ加工が可能という特長がある。



な行

熱硬化

熱エネルギーを用いて塗膜成分を重合させて硬化させる技術。
熱硬化型ハードコート剤は、硬化設備が熱処理装置のみで、製品形状に拘らず硬化させることができる特徴を持つ。硬化時間の長さや塗料ライフが短いといった欠点もある。


粘度

ハードコート剤の粘性を示す数値。
粘度が高い程流れにくく、低い程流れやすい液であると言える。



は行

ハードコート

プラスチック製品、柔らかい金属の表面をキズや汚れから守るために、表面に施す技術。
ニデックでは、アクリルやポリカーボネートといった様々な基材に対して基材の特性を保ったままハードコートを施している。


バーコート

基材上の塗料をバーにより掻き取ることにより塗工する方法。
平面形状・片面コートのみ可能であり、塗料の使用量が少なくて済むため、簡易的な塗工テストに向いている。


はじき

基材とハードコート剤の濡れ性が悪く、塗工後にハードコート剤が弾いて、均一に塗工できていない不良現象。


白化・くもり

熱や光、溶剤などにより、塗膜表面や基材表面が白く濁りくもった状態になる不良現象。


撥水

水を弾くこと。
一般的に水の接触角で評価する。水の接触角が150度を超えると超撥水と言う。


ピーク光量

UVランプの光(波長)の中で単位面積当たりに最も大きな値を示した時の照度。
単位は、mW/cm2で表す。


表面荒れ

熱や光、溶剤などにより、塗膜表面や基材表面が荒れてしまう不良現象。


ブツ

基材上に存在する異物が原因で発生する不良。


プライマー

耐衝撃性や密着性等を向上させるためのコート膜。


フローコート

塗料を上部から流し、カーテン状にした所を基材を通過させることで塗工する方法。
塗料を回収して再利用できるため、塗料ロスが少なく、生産性が良いという特長がある。


Haze(ヘイズ)

濁度とも言い、サンプルの濁り具合を表す数値。
拡散透過光の全光線透過光に対する割合から求められ、Haze値が高い程、白っぽく見える。


PET(ペット)

正式名称:ポリエチレンテレフタレート
耐熱性・耐薬品性に優れるが、ハード塗工時には易接着層が必要となる材料。
LCD保護フィルムや飛散防止フィルムなどに使用されている。


防汚

汚れを防ぐこと。
一般的に汚れの付き難さや、拭き取り易さで評価される。


ポリカーボネート(PC)

耐衝撃性・耐熱性・寸法安定性に優れるが、複屈折が生じ、耐溶剤性も弱い材料。
自動車用ヘッドライトや、防護楯、防犯カメラなどに使用されている。



ま行

膜厚

塗工直後の膜厚をウェット膜厚、乾燥・硬化後の膜厚をドライ膜厚と言う場合もあるが、通常ドライ膜厚のことを「膜厚」と言う。

また、一般的に「膜厚」と言えば、物理膜厚のことを言う。物理膜厚(d)は物差しで測った長さそのものとなるが、光学を扱う場合は、光学膜厚(nd)を用いる。光学膜厚(nd)は、屈折率(n)と物理膜厚(d)を掛け合わせた値。

  光学膜厚(nd)=屈折率(n)×物理膜厚(d)


密着性

塗膜と基材の密着度合を表す指標。
【評価方法の一例】
カッターで100マス(1mm角)をケガキ、100マス上に貼り付けたセロハンテープを45°方向へ強く引っ張りテープを剥がす動作を3回繰り返し、剥がれていないマス目の数を数える。100/100で剥がれ無し。


無機系ハードコート剤

シランカップリング剤の加水分解縮合を利用して硬化する無機系のハードコート。
ニデックでは、眼鏡用プラスチックレンズに使用している。


メタルハライドランプ

水銀とハロゲン化金属の混合蒸気のアーク放電による発光を利用するランプ。


モノマー

重合体を構成する最小単位。単量体ともいい、モノマーが多数結合したものをポリマーという。
UV硬化型のハードコート剤は、モノマーやオリゴマーが重合することでハードコート膜を形成する。



や行

有機系ハードコート剤

柔軟性に富み擦傷性に優れるが、硬度が得られにくい有機系のハードコート。
ラジカル重合によって硬化する。
ニデックのハードコート剤のPreveilがこれに該当する。


有機・無機コンポジットハードコート剤

有機材料と無機材料を分子あるいはナノレベルで結合が無く相互作用や混合することで得られたハードコート。
無機成分を含むため、硬度が高く、硬化収縮を減らすことができる。


有機・無機ハイブリッドハードコート剤

有機材料と無機材料を分子あるいはナノレベルで化学的に結合することで得られたハードコート。
無機成分を含むため、硬度が高く、硬化収縮を減らすことができる。
ニデックのハードコート剤のAcierがこれに該当する。


UV硬化

紫外線エネルギーを用いて塗膜成分を重合させて硬化させる技術
UV硬化型ハードコート剤は、硬化時間が非常に短く生産性が良い点や塗料ライフが長いという特徴を持つ。UV照射設備が必要な点や塗料を遮光条件下で保管しないけないといった欠点もある。


ゆず肌(オレンジピール)

ゆずの皮のように基材表面に凹凸が発生する現象のこと。


溶媒

ハードコート剤の固形分を分散させているもの。
一般的には、ハードコートの塗工性を良くするために用いて、後の乾燥工程にて揮発するものを指す。



ら行

ラジカル

原子核の周りに不対電子をもつ原子や分子のこと。
ラジカルが塗膜中の電子を奪うことで破壊が起こり、塗膜の劣化が起こる。



わ行



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