近年、ARグラスの進化に伴い、導波路の高精細化や薄型化が急速に進んでいます。これにより、基材の反りや平坦性、形状といった要素に対する品質管理の重要性が高まっています。特に、コーティングによって形状が変化するケースもあり、これらの変化を適切に管理することが求められております。
今回は、このような基材の管理、コーティング前後の反りや形状が確認できる測定方法「FT(フラットネステスター)」について、ご紹介します。基材形状の品質管理としてご参考となれば幸いです。
多くのコーティング(薄膜)は少なからず内部応力を有しているため、基板にコーティングを施すと反りが生じ、基板が変形する場合があります。特に、コーティング部品を半導体やARグラスなど精密機械に組み込む際は、外観では判別できない表面形状の管理が求められ、ミクロンオーダーの測定や管理が必要となります。
こうした反りなどの表面形状を測定するの代表的な方法として、弊社が製造・販売しているフラットネステスター(FT-900)が活用できます。高精度な非接触式測定により膜形成前後の基板の反りや平坦度の変化を定量的に把握することが可能です。
成膜後に膜内に残る応力のことであり、熱的・機械的・化学的な要因によって発生し、大きく 引張応力 と 圧縮応力 に分類されます。引っ張り応力は薄膜を内側にし基板を凹型に、圧縮応力は薄膜を外側にし基板を凸型に変形させる力が働きます。
ニデックのレーザ光斜入射干渉計による干渉縞を位相シフト法を利用したフラットネステスター(FT-900)をご紹介します。
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Φ100mm、厚さ490μm、透明ガラス基板における平坦度の測定結果が以下となります。
見た目ではほとんど見分けることができませんが、フラットネステスター(FT)で測定すると、表面の中央が高く、徐々に周辺が低くなっていることが分かります。等高線図では中心が高い輪郭、断面図では、山型の曲線として確認することができます。
Φ150mm、厚さ700μm、SiC基板における形状(SORI)・平坦度(GBIR)の測定結果が以下となります。
以下は同じSiC基板の測定結果となり、形状(SORI)と平坦度(GBIR)の両者を確認することができます。
Φ100mm、厚さ500μm、Si基板におけるコーティング前後の測定結果、及び応力による変化量(ストレス解析)の結果が以下となります。
ウェーハ(基材)の材質名、ヤング率、ポアソン比、厚さなどを入力することで、各ポイントでの応力(ストレス)解析が可能となります。
※以下のデータは一例であり、上記画像サンプルの結果ではありません。
以下の製品や分野の基材の測定管理への検討ができます。
コーティング(薄膜)の内部応力は基板の表面形状に影響を与える可能性があります。フラットネステスター(FT-900)による前後の測定で、微細な形状変化を把握し、製品の歩留まり向上と品質管理の検討が可能となります。
基材やコーティング前後の形状管理、フラットネステスター(FT-900)について、ご不明な点やご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
サンプル測定のご依頼も承っております。ぜひご相談ください。