バンドパスフィルターとは? ~特定波長を透過する光学フィルターの特長と活用例~

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分析機器、光センシング、光通信など、精密な波長制御が求められる分野で活躍するバンドパスフィルター。
今回は、特定波長の光を透過する光学フィルターについて、仕様規定を含む技術的な特長とともに、LiDARや蛍光分析など、実際の活用事例も交えてご紹介します。 バンドパスフィルターについての理解や製品選定の参考になれば幸いです。




バンドパスフィルターの仕様規定

バンドパスフィルターは、光学特性の仕様を把握することが重要です。
以下が波長選択性と遮断性能を評価する上での基本的な仕様項目となります。


これらのパラメータは、使用する光源のスペクトル特性や検出器の感度特性との整合性を確保するための重要な検討材料となります。以下のように仕様項目が定義されます。




バンドパスフィルターの活用例①蛍光分析

蛍光分析は、物質が光を吸収し、再放出する蛍光を利用した高度な分析技術です。
特定の有機化合物や金属元素の検出・定量に広く活用されており、非常に高い感度を備えている点が特長です。

実際の応用例

バンドパスフィルターは、蛍光分析において、特定の波長範囲の光を選択的に透過させるために使用されます。これにより、励起光と蛍光を効率よく分離でき、測定の精度向上に寄与します。

バンドパスフィルターの使用イメージ

バンドパスフィルターを使用することで蛍光分析の感度と精度が向上し、より高精度な測定結果が得られます。

仕様例

励起波長用

中心波長(CWL) 405 nm
最大透過率(T peek) 80%以上
半値幅(FWHM) 20 nm
眼止帯域(Blocking Range) 0.1%以下
@440~470 nm

蛍光波長用

中心波長(CWL) 455 nm
最大透過率(T peek) 80%以上
半値幅(FWHM) 20 nm
眼止帯域(Blocking Range) 0.1%以下
@390~420 nm



バンドパスフィルターの活用例②分光器

分光器は、光のスペクトルを測定する光学機器であり、物質の分析に幅広く利用されています。

実際の応用例

バンドパスフィルターを搭載した分光器は、特定の波長範囲の光を選択的に透過させることで、高精度な分光分析を可能にする重要なコンポーネントです。

バンドパスフィルターの使用イメージ

バンドパスフィルターを使用することで、分光器の性能が向上し、より正確なスペクトルデータを得ることができます。

仕様例

中心波長(CWL) 400 ~ 1000 nm
最大透過率(T peek) 80%以上
半値幅(FWHM) 10 nm
眼止帯域(Blocking Range) 0.1%以下@400~1000 nm



バンドパスフィルターの活用例③LiDAR

LiDAR(Light Detection and Ranging)は、レーザー光を用いて対象物までの距離や形状を計測するリモートセンシング技術です。自動運転車、測量、森林管理など、さまざまな分野で活用されています。

実際の応用例


バンドパスフィルターの使用イメージ

バンドパスフィルターを使用することで、LiDARシステムの測定精度と信頼性が向上し、より正確な3Dデータの取得が可能になります。



仕様例

中心波長(CWL) 905 nm
最大透過率(T peek) 80%以上
半値幅(FWHM) 10 nm
眼止帯域(Blocking Range) 0.1%以下@450~840 nm, 960~1200 nm



バンドパスフィルターの活用例④その他

バンドパスフィルターは、さまざまな光学系に組み込まれています。
以下のような分野でも重要な構成要素として活用されています。

  • 光通信
  • 映像表示装置
  • 人感センサ
  • 医療・産業用分析器



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バンドパスフィルターの仕様や応用例について、ご不明点やご相談がございましたら、
どうぞお気軽にお問い合わせください。
ご使用環境やご要望に応じて、最適なフィルターをご提案いたします。

1個から試作対応可能

ニデックでは、紫外域から可視域、赤外域まで幅広い波長範囲に対応した光学薄膜フィルターを提供しています。コーティングからダイシングカットまで一貫対応しており、サイズや数量も柔軟にご相談いただけます。
1個からの試作にも対応しており、多様なニーズにお応えします。

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