ARコートに求められる耐擦傷性

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目次

今回は、ARコートに求められる耐擦傷性をお伝えしながら、反射防止性能に加え、優れた耐擦傷性、防汚性を兼ね備えた「高耐擦傷性ARシート」をご紹介させていただきます。
タッチパネルなど、耐擦傷性が必要なシーンでのARコートをご検討される際のご参考にしていただければと存じます。


1. AR コートに求められる耐擦傷性

高い耐擦傷性を求められていたAR コート

液晶モニターなどへの映り込みを低減させるARコート(反射防止膜)ですが、従来のARコートは強く擦るとキズが付く場合がありました。擦りキズの付きやすいタッチパネルなどで改善要望をいただくこともあり、より耐擦傷性の高いARコートが求められていました。また、ARコートはナノオーダーの膜厚で非常に薄いため、表面の柔らかい樹脂シート上への加工は、コートメーカーにとって常に課題となっていました。


自社技術を融合させ開発された擦りキズに強いAR コート
「高耐擦傷性AR シート」

ARコートの耐擦傷性を強化する。この目標のために開発に取り組みました。
その結果、ARコート・ハードコートの両技術を保有するニデックでは、ARコート層のみではなく、ARコート層下部のハードコート層との一貫した成膜技術により、高い耐擦傷性を持つARコートを実現。「高耐擦傷性ARシート」を開発しました。
また、耐擦傷性は表面の滑り性の影響も受けるため、シート最表面は撥水・防汚性のある構成となっています。
高耐擦傷性ARシートは、これまでのARコートの反射低減性能を持ちながら、優れた耐擦傷性と撥水・防汚性を併せ持ちます。以下の構成のPMMA基材となり、タッチパネルなど、耐擦傷性が求められる場面での活用を可能としたARシートです。

高耐擦傷性ARシート

構成

擦傷性試験
スチールウール#0000
200 g荷重 1000往復

防汚性能(撥水・防汚コートの効果例)
油性マジックを弾くため、
乾いた布で拭き取ることができます。





2. 高耐擦傷性AR シートの特長

特長

特性

項目 試験条件 結果
擦傷性 スチールウール#0000, 1 kg荷重 10往復 キズ0本
スチールウール#0000, 200 g荷重 1000往復 キズ0本
綿布摩耗性 スーパーキセノンBP=63℃, 1000 h後、
水で湿らせた綿布, 1 kg荷重 10000往復
異常なし
鉛筆硬度 JIS K5600-5-4(荷重750 g) 4 H
接触角 θ/2法による 105°以上
密着性 クロスハッチセロハンテープ剥離法(3回) 異常なし
耐熱性 80℃, 1000 h 異常なし
耐湿熱性 85℃, 85%, 1000 h 異常なし
耐塩水性 塩水噴霧試験 JIS Z2371, 28日 異常なし
耐光性 スーパーキセノン BP=63℃, 4000 h 異常なし

基材:ハードコート付きPMMA(2 mm厚)
※ 特性は参考値であり、保証値ではありません



3. 高耐擦傷性AR シートの用途例





4. お問合せ

高耐擦傷性AR シートサンプルのご要望、また、その他AR コートについて、ご要望やご相談などございましたら、お問合せフォームよりお気軽にお問合せください。弊社で検討の上、ご要望に適したご提案をさせていただきます。


※全ての画像はイメージです。

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