ARコート(反射防止膜)は、反射を低減させる・反射を抑える膜ですが、逆に意図的に反射させる膜(ミラーコート)について紹介します。
「ミラー」と聞くと一般には“鏡”の様な物を想像されるかと思いますが、“誘電体ミラー”は“金属ミラー”とは異なるものです。一般的な“鏡”は、“金属ミラー”となり、アルミ等の金属が使用されています。
誘電体ミラーとは一般に金属ではない誘電性のある材料(絶縁体としてふるまう材料)を利用したミラーのことです。
自然界にある身近な“誘電体ミラー”としては「真珠」が挙げられます。
「真珠」の輝きや、外観がピンクやグリーンに見えるのは、誘電体ミラーと同じ様に「反射」と「干渉」の両方の性質を持つためです。
【光学特性】
“金属ミラー”は、膜表面で光を「反射」させている為、反射色は入射光に依存します。
“誘電体ミラー”は、膜の表面と基材の表面とで「反射」と「干渉」の2つの現象が起きています。
光の「干渉」を利用することで、“金属ミラー”では難しい光の波長制御が可能になり、反射色を自在に操る事が可能となります。
また、“誘電体ミラー”は、この「干渉」の現象により、入射角が変わる(光路長が変わる)と反射色も変化し、特徴的な外観になります。
(一部、反射色の変化を抑えた“誘電体ミラー”の設計も可能です。)
【電波透過性】
“金属ミラー”は一般に電磁波を吸収、反射してしまいます。 その為スマートフォンなどで金属ミラーを使用すると電磁波が遮られ、通信障害が発生する場合があります。
金属ボディを持つスマートフォンでも、一部樹脂が使用されているのはその為です。
“誘電体ミラー”は金属を使用していない為、電磁波が透過します。
上記の【光学特性】と併せて、「外観を損なわずに電磁波が透過する」為、携帯電話、スマートフォンで使用されます。
ニデックでは、誘電体ミラーコートを装飾・加飾ミラーコートして、真空蒸着法により加工を行っております。
ニデックの装飾コートの使用例を御紹介します。
以下の様に、見る角度により、反射色が変化しますので、色彩に豊かな装飾コートを実現させることができます。
ご要望に応じて様々な反射色を設計可能です。以下が反射率特性、色相値例です。
また、ハーフミラー等の設計も可能です。